30年ぶりに入った家族と通った喫茶店で見たテーブル毎の人生ドラマ。
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30年ぶりに入った家族と通った喫茶店で見たテーブル毎の人生ドラマ。

2023.11.12
2023.11.12

おはようございます。FOURTEENのコウタです。

京都を拠点にフリーランスデザイナーとして活動しており、毎日休まず続けている、ランニングやブログを通じて感じた「継続は力なり」の大切さを発信したりしています。

京都を拠点に完全独学のフリーランスデザイナーとして活動し8年目。2016年から禁煙をキッカケに始めた毎日ランニングは2,195日、毎日ブログは975日を突破。(2022年12月31日現在)

先日、ふと思い立って、僕が小さい頃(5歳くらい)に家族で通っていた喫茶店に30年ぶりに行くことにしたんです。

当時の浅い記憶の中に確かにあった懐かしさと、30年の時を経て感じる家族との思い出を回想しながら見たその光景は、思わぬ時間を僕に与えてくれました。

ということで今回は、30年ぶりに入った家族と通った喫茶店で見たテーブル毎の人生ドラマ、というお話をしたいと思います。

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30年ぶりに立ち寄った家族と通った喫茶店。

当時、5歳までの僕がこの喫茶店にあった思い出は「エビフライ」とか「バナナジュース」とか「パフェ」を食べた記憶で、父の仕事終わりに連れて行ってもらったり、休みの日に父の友達なんかとみんなで集まったりする場所でした。

ただ、僕の中での記憶は随分薄まっていたこともあって、僕はその日ふと思い立って「どんな場所だっただろう?」という好奇心と懐かしさを感じに行ったんです。

お店の自動ドアを開けると同時に「カランコロン」とドアベルが鳴ったのをキッカケに「そうそうこんな場所だった」という薄まっていた記憶が少しずつ鮮明になって来るような感覚を覚えました。

喫茶店特有のなんとも言えない匂いと、昭和レトロを感じさせる外観と内観、壁一面の棚に並べられた新旧ずらっと揃った漫画や雑誌、当時の僕はどこに座ってたんだろうと記憶を辿りながら、日替わり弁当が売り切れと言われたので、僕は「エビフライ弁当」を注文しました。

テーブル毎に映ったそれぞれの人生ドラマ。

注文したエビフライ弁当を待ちながらボーッと店内を見渡していると、田舎の喫茶店にもかかわらず、想像以上にお客さんが入れ替わり立ち替わりして、喫茶店独特の時間の過ごし方を楽しんでおられました。

あるテーブルではおじさんがお弁当を食べながら競馬新聞を広げ何やらチェックしていたり、あるテーブルで「一番ええのいっとけ」と声が聞こえたと思えば、おじいちゃんに連れられた孫娘2人がパフェやプリンを注文していたり。

テーブル毎にそれぞれの人生を映しているような不思議な感覚に、僕はタイムスリップした様な気持ちで「いつの時代も変わらないものがあるんだな」と、両親が離婚して家族は分裂し、もう2度と戻れないかもしれないあの日に少しノスタルジックな気持ちになりました。

そして、そんなゆっくりな時間が流れた後、僕の元に「エビフライ弁当」が運ばれて、有頭の巨大なエビが3本も入った豪華さと、下に敷き詰められた自家製タルタルソースを見て思わず「懐かしい」と唸りました。(エビフライ弁当1300円)

思わぬ時間を生んだ僕の一言。

都会でも散々ランチをして来た僕の感覚を凌駕され「こんなに美味しかったのか」と唸ってしまうほど、豪華でクオリティの高いお弁当に、1300円という値段が同じそれらと比べても安く感じる満足度でした。

最後にウェイターのおばさんがコーヒーを運んでくださった時にふと「実は僕ここに来るの約30年ぶり(今が34歳)なんです」と声を掛けたところ、当時の話を聞かれたので「そこ(同じアーケード内にある)の酒屋で働いてた親父の息子です」と言った途端、おばさんの顔が一気に変わったのを感じたんです。

「お父さんの名前は?」と聞かれて、「福井です」と答えたら、おばさんが「三兄弟の長男か?」と言われ、なぜ僕はそこまでこの人が自分のことを知ってくれているのか把握出来ないまま、少し思い出話をした後に「マスターからドリンクサービスするね」と言われ、ドリンクだけ消された伝票を持って来てくれました。

食事を終えてお会計をしようとしたタイミングで、遠い記憶の中にいた5歳の僕が見たあの時の雰囲気のままのマスターが僕の席の方へ来て椅子に座り「お父さんとお母さんは元気か?」と話を始めました。

僕が紡ぎ繋いだ家族とマスターとのこれからの時間。

聞けばマスターは、僕の父親が働いていた酒屋さんの店主のご兄弟の方で、父と母が結婚する前からの友人だったそうで、僕ら家族が散り散りになった約20年前くらいから、僕含め、父や母とも会っていない状況が続いていたみたいです。

「ずっと福井くんの家族や子供のことを心配してたんだよ」と、心から溢れるように出てくる嬉しそうでどこかホッとした様なお話に、記憶が曖昧な僕にも伝わる強い情をマスターから感じることが出来ました。

僕が一方的にこの喫茶店のことを覚えていたということではなく、マスターは僕のことだけじゃなく、三兄弟のこと、苦労していた当時の両親のことをもっと近くで見て深く知ってくれていて、僕が知らなかったことまで沢山教えてくれました。

色々な問題があった中で「あの時もっと支えてあげたらこんなことにならなかったのかな」と、マスターが自分の行動に後悔を滲ませる理由が僕には分からなかったんですが、両親が自分からは顔を出せなくなっているこの止まった時間を、僕が紡ぎに来たのか、それとも繋ぎに来たかのような不思議な縁を感じたんです。

2時間ほど話し込んでくれた後、「またいつか両親を連れてここに来ますね」とマスターに伝え、お会計をしようと立ち上がったら、マスターは「代金はいらん」と伝票をくしゃくしゃに丸めてポケットにしまいました。

5歳の時に食べたものと全く同じエビフライ弁当は、時を超えて、僕の人生の中で一番美味しかったエビフライ弁当になりました。

一緒に頑張りましょう。

では、また明日。

WRITER
KOHTA FUKUI / Freelance Designer
KOHTA FUKUI
Freelance Designer